アルバイトを辞める時の有給について解説します。
「有休を使い切ってパートを辞めたい」「有給の計算方法を知りたい」という人向けです。
この記事を読めば、損をしないバイトの辞め方がわかります。
バイトの有給休暇の条件と日数計算
バイトでも有給休暇が貰える条件
次の2つの条件を満たせば、パートやアルバイトでも有休が貰えます。
- 働いた期間が6ヶ月以上
- 欠勤した日数が2割未満
※欠勤した日数=出勤日だったのに休んだ日数
有給休暇の日数は、「働いた日数」と「勤務時間」で決まります。
有休日数の確認
有休の権利は、働き始めた日の、6ヶ月後に貰えます。
1年分を一気に貰います。
例 3月1日に勤務スタートなら、9月1日に10日間の有給権利を獲得
貰える日数は、以下の表でわかります。
働いてから3年5ヶ月未満の人
– | 6ヶ月 | 1.5年 | 2.5年 |
---|---|---|---|
週1勤務 | 1日 | 2日 | 2日 |
週2勤務 | 3日 | 4日 | 4日 |
週3勤務 | 5日 | 6日 | 6日 |
週4勤務 (週30時間未満) | 7日 | 8日 | 9日 |
週4勤務 (週30時間以上) | 10日 | 11日 | 12日 |
週5勤務 | 10日 | 11日 | 12日 |
働いてから3年6ヶ月以上の人
– | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5以上 |
---|---|---|---|---|
週1勤務 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
週2勤務 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
週3勤務 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
週4勤務 (週30未満) | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
週4勤務 (週30以上) | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
週5勤務 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
残りの有休を計算する方法
有給休暇の権利は、貰ってから2年間は繰り越すことができます。
最大40日までストックされます。
週3バイトの例
1月1日に入社した
~6ヶ月後~
7月1日に5日の有休権利を貰う
有休を使わなかった
~1年後~
7月1日に6日の有給権利を貰う
合計11日の権利を持ってる
~さらに1年後~
7月1日に6日の権利を貰う
合計17日の権利を持ってる
~そのさらに1年後~
1番最初の有休(2年前の権利)は繰り越されず消失する
7月1日に8日の権利を貰う
17日 – 消失5日 + 8日=20日
こんな感じで、有給休暇は繰り越されます。
よくわからないときは会社に確認しましょう。
会社は「年次有給休暇管理簿」を作る義務があり、社員の有休日数を把握してます。
有給休暇の義務化について
2019年の4月から、有給休暇の消化が義務化されました。
社員が10日以上の有休を持っている場合、年間5日は必ず休ませるという法律です。
アルバイトやパートにも適用されます。
退職前に有給消化する方法
バイトの退職は辞める何日前に言う?
雇用期間が決まっていない、アルバイトの場合。
「14日前に申告すれば民法第627条により自由に辞めることができる」
法律上は辞めれますが、いきなり辞めるのはマナー違反です。退職日を会社と相談し、引き継ぎ業務を行ったあとに有給消化するのが一般的です。
有給休暇の希望を出す
退職前に、有休希望を申請します。
シフト制の場合は、シフトの入っている日が対象です。
たとえば土日だけ勤務している人がいたとします。有給が8日残っている場合は「土日、土日、土日、土日」の4週間分が休みになります。
「時季変更権」は使えない
時季変更権とは、会社側の権利です。
「いま有休を使われると都合が悪いから、休む時期をずらしてね」と、会社が言う権利です。
退職前の有給消化は、時期変更権が使えません。
「従業員の退社により有給取得日の変更余地がない場合、会社は時季変更権を行使することができない。」
よって、必ず希望日に休むことができます。
その有休申請を拒否したら、会社の違法行為となります。
会社が有給を取らせてくれない場合の対策
- 申請する
- 有休を拒否される
- 労働基準監督署に通報する
- 勝手に休んでOK
拒否されたら労働基準監督署に通報します。
「会社が受理しなくとも、申請した日に休暇を取って良いよ」と指導されます。
会社が「いい」と言わなくても、申請した日に勝手に休みましょう。
有休を申請した証拠として、書面をコピーして持っておきましょう。
勝手に休むとどうなる?
勝手に休んでも(申請した日の通りに休暇を取っても)賃金が振り込まれます。
給料日になったら、自分の給与明細や給与振込を確認しましょう。
給与明細にて該当日が欠勤扱いになっていた場合は「賃金の未払い」が確定します。
その時点で、労働基準監督署に連絡します。
その会社に行政指導が入り、ちゃんと賃金が支払われます。
就業規則でバイトの有給休暇なしだったら
会社の就業規則に「アルバイトやパートは有給休暇はなし」と書かれていたらどうなるでしょうか。
この場合も、有給休暇は発生しますし、取得もできます。
会社に拒否する権利はありません。
就業規則は無効になる
- 有給休暇の条件は労働基準法第39条によって定められている
- 会社の就業規則には第39条と同じ、またはそれ以上の条件を記載しなければならない
- よって、「アルバイトの有給休暇無し」など、「39条を下回る条件」の記載は無効となる
絶対に有休を消化してください、というお願い
有給休暇って、とりづらい雰囲気がありますよね。
とくにアルバイトやパートだと、「誰も休んでない」ってパターンがあると思います。
バイトを続けるなら、空気を読んで「自分も休まない」という選択もあります。
ですが、退職時の有給休暇はとってください。
もう辞めるのだから、空気は関係ないです。
ルール違反が得する世の中になる
私は事業主ですが、ルールを守ってます。
ルールを守ると、コストがかかって利益が減ります。
もし、会社が有休を拒否し、アルバイトが泣き寝入りするとどうなるでしょう。
ルール違反をする会社が、得をする世の中になります。
そうなると会社側はこう考えます。
『ルールなんて破ったほうが得じゃん。どうせバイトなんて知識もないんだし、有休はどんどん拒否しよう』
それを見ているルールを守っていた会社も↓
「みんなルール違反なのにうちだけ守るのは馬鹿らしい。うちもルールを守るのはやめよう」
『ルール違反してもバイトはビビって何も言ってこないな。残業代も払わなくていいか』
こんな風にどんどん労働環境が悪化していくわけです。
労働者が泣き寝入りするとルール違反の会社が生き残る。
「本当は有休をとりたいけど会社がダメと言ったから……」という人がいたら、ぜひ頑張って有休を取得してください。
違法な会社を減らしましょう!